ここ数年、健康ブームが続く日本。
喫煙者の肩身が狭くなる一方で、電子タバコの需要は一気に拡大しています。
イギリスから火がつき、今や世界中に広まるリキッド式電子タバコ(ベイプ)は、これまでの「喫煙」の常識を覆すアイテムです。
しかし、一言で「電子タバコ」といっても、種類によって作り出される水蒸気(煙)の成分は全く違うものです。
今回は、電子タバコ(ベイプ)の作り出す水蒸気について、そして、今流行りの加熱式電子タバコ(アイコス・グロー・プルームテック)との違いについてもご紹介していきたいと思います。
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この記事の目次一覧
今話題の加熱式電子タバコの水蒸気とは?
国内で電子タバコの認知度を一気に引き上げた、「アイコス」「グロー」「プルームテック」。
「電子タバコ」という言葉のイメージのせいで、よく「ベイプ」と混同されてしまうことも多い製品です。しかし、加熱式電子タバコとベイプは全く別モノだということは、一旦整理しておきましょう。
タバコの葉(成分)を、加熱して水蒸気を喫煙スタイル
加熱式電子タバコも、ベイプと同様に水蒸気を発生させる喫煙アイテムということに変わりはありません。
しかし、ベイプとの大きな違いとして、水蒸気を発生させるまでの工程で、タバコの葉やその成分を加熱していることがポイントとなります。
加熱式タバコは、紙のタバコとは比べものにならないくらい、タールなどの有害物質を大幅にカットしています。
しかし、それでも有害物質を100%無くすことはできません。
また、加熱式タバコのそもそものコンセプトが、紙のタバコの代用品です。当然、タバコの葉を使う性質上、ニコチンが含まれているので、それに伴う健康への影響は避けられません。
アイコスの水蒸気の成分は?
アイコスは、ヒートスティックと呼ばれるタバコの葉を、喫煙デバイスの内側に取り付けられたブレードに差し込み、そのブレードを加熱させることで水蒸気を生み出すスタイルです。
画像:Philip Morris International
つまり、タバコの葉を内側から加熱して、出てきた水蒸気を喫煙します。
アイコスを販売するフィリップモーリスが発表した資料をみると、アイコス喫煙時に発生する水蒸気の成分は、水分以外では下記の通り。
- グリセリン
- ニコチン
- その他成分
ここで記載のある「その多成分」が、いわゆるタールなどの有害物質であることは間違いありません。
グローの水蒸気の成分は?
グローの喫煙スタイルは、喫煙デバイスにネオステックと呼ばれる細長いタバコの葉を差し込み、ネオスティックを外側からあたため、その水蒸気を楽しむものです。
残念ながら、現在グローから発表された正式な資料が手元にありません。しかし、タバコの葉を直接温める機構自体は、アイコスと変わりありません。
あくまで推測ですが、水蒸気に含まれる成分はアイコスで発生する水蒸気の成分とほとんど同じと考えられそうです。
プルームテックの水蒸気の成分は?
資料:JT
プルームテックは、カートリッジ部分に含まれるリキッドを熱であたためます。
そこで発生した水蒸気を、先端に装着した「たばこカプセル」に通過させ、煙を喫煙します。
このタバコカプセル部分に、細かく砕いた「タバコ葉」が入れられており、ニコチンや風味が加えられるわけです。
アイコスやグローと異なり、プルームテックはタバコの葉を直接あたためず、すでに作り出された水蒸気をたばこカプセルに通過させるだけ。
JTから発表された資料では、プルームテックから発生する水蒸気の中には、水分以外では4つの成分が含まれていることが明らかになっています。
下の図の、「不使用」と書かれているグラフは、何も吸引していない時の呼気。「使用」はプルーム・テックを1呼吸分吸って吐いた息です。
資料:JT
- アンモニア
- ホルムアルデヒド
- アセトン
- ニコチン
アンモニア、ホルムアルデヒド、アセトンに関しては、プルームテック喫煙にかかわらず、もともと人間の呼吸に含まれている成分でもあります。
意外にも、プルーム・テックを吸った時と、そうでない時の呼気に含まれる有害物質はほとんど変化がありません。
加熱式電子タバコの水蒸気まとめ
いずれにせよ、加熱式電子タバコの水蒸気は、ニコチンはもちろんのこと、少なからず有害物質が含まれているという結果です。
ただ、含まれる有害物質の量は、紙のタバコのそれと比べると、大幅に少なくなっているのは客観的に見れば明らかです。
加熱式タバコの特徴
- 火を直接使用しない
- 喫煙デバイス内でタバコ成分が加えられる
- 生み出される水蒸気には、若干のタールが含まれる
- 生み出される水蒸気には、若干のニコチンが含まれる
ちなみに、普通のタバコだけに限らず、「ものが燃える」という背景には必ずタールなどの有害物質がつき回ります。
ものが燃える時には、その対象の物質が酸素と化合するのですが、その際にどうしても避けて通れないのが有害物質の形成です。
「加熱式電子タバコは、火を直接使用しないから大丈夫なのでは?」
と思う方もいるのですが、どんな形であれタバコ成分(物質)を熱する過程で、酸素と化合し、有害物質が微量でも発生してしまうことは否めないのです。
ただし、やはり直接火を使用して物質を燃やすという行為よりはずっとましになっていることは確か。
このことから、普通のタバコよりも加熱式電子タバコは有害物質を大幅カットに成功したという結論に至ります。
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ベイプの煙も、加熱式タバコと同様に水蒸気を喫煙するものです。
リキッド式のベイプが生み出す水蒸気は、本物のタバコと匹敵するくらいの煙の量を楽しめるということもポイントでしょう。
しかし、ベイプと加熱式電子タバコの最大の違いは、タバコの葉(成分)を一切使用せずに、水蒸気を発生させる点です。
タバコの葉も火も使用せず煙を発生させるメカニズム
ベイプは、アトマイザーと呼ばれるタンク部分にリキッドを注入し、それを熱で温めて蒸発させ、その水蒸気を楽しむデバイスです。
加熱式電子タバコのように、タバコの葉(成分)を一切使用使用しないことから、作り出される水蒸気内の成分も、随分と変わってきます。
まず根本的に異なるのが、ベイプの煙を生み出すためのリキッドの中に、水蒸気を作り出す全ての成分が含まれているということ。
そのため、リキッドの成分をしっかりと把握することが、ベイプの水蒸気が安全かどうかを見極めるための鍵となるのです!
電子タバコ(ベイプ)の煙の成分は?
ベイプから生み出される煙は水蒸気であり、タバコ葉の成分はまったく使用しないのですが、その成分は100%水分なのか?と言うと、残念ながらそうではありません。
ベイプの水蒸気は、リキッドを蒸発させたもの。そして、着目すべきはリキッドに含まれる主な2つの成分です。
- プロピレングリコール(PG)
- グリセリン
リキッドの成分のほとんどは、この2つの成分に香料を加えたもの。
ここからは、気になるベイプの水蒸気の成分について、詳しくご紹介していきます!
プロピレングリコール(PG)について
保湿や乳化など様々な用途に使用され、食品や医薬品にも用いられる場合がある。
ベイプのリキッドの主な成分の1つであるプロピレングリコール。これはよく頭文字をとってPGと表記されます。
プロピレングリコールは、化粧品、食品、医薬品など、私たちの生活では至る所で使われている成分。
様々な実験結果でも、プロピレングリコールは人体には影響を及ぼさないとされています。
ただし、人によっては下記のような刺激を感じる方がいることも事実。
皮膚および眼に対して軽度の刺激性を持つ。
グリセリンについて
食品添加物として、甘味料、保存料、保湿剤、増粘安定剤などの用途がある。虫歯の原因となりにくい。医薬品や化粧品には、保湿剤・潤滑剤として使われている。
引用元:ウィキペディア グリセリン
グリセリンも、私達の日常生活に馴染みのある成分。
基本的には摂取に関しては安全だと言えるのですが、その一方で下記のような刺激性も認められています。
摂取しても特段大きな害はないが、皮膚や粘膜に対して軽い刺激性がある。
引用元:ウィキペディア グリセリン
そして、グリセリンは無臭なのですが、甘味がある成分としても知られています。
電子タバコ(ベイプ)の煙の臭いは?
基本的にはベイプの水蒸気は無味無臭
もともと甘味のあるグリセリンも、プロピレングリコールも、水蒸気に気化すると無味無臭です。
もちろんのこと、口から吐き出される水蒸気も同じく無臭。
ベイプはリキッドでお好みのフレイバーに
さて、ベイプのリキッドに含まれる主成分は無味無臭である、と説明しました。
しかし、ここで加熱式電子タバコと大きく異なる点として、ベイプは自分好みのフレイバーを選べるという特徴が挙げられます。
ベイプはリキッドに含まれるプロピレングリコールとグリセリンに加え、「香料」が含まれています。この香料が、ベイプの水蒸気に味や臭いをつけてくれる大切な役割を果たすのです。
電子タバコ(ベイプ)の煙の害は?
タールは物理的に発生しない
最初に説明した通り、直接的に物質を加熱させることのないベイプは、通常の喫煙で懸念されるような、副流煙の被害は発生しません。
つまり、タールやニコチンは発生しないと言えます。
国産のベイプのリキッドが安心?
ここまで、ベイプのリキッドに害はないという話でしたが、課題として、まだまだ歴史の浅いリキッドの吸引行為。
まだまだ、長期的な実験データが乏しく、100%安全だという根拠が揃っていません。
それでも、リキッドから作り出される水蒸気について、研究は日々進んでいます。
日本で販売されている優良品の液体は、香料やグリセリン、プロピレングリコールなどの食品衛生法といった、認められている食品添加物で構成されているし、日本製の優良リキッドを厚労省と同じ検査方法で検査した際、「身体に悪い影響を及ぼすほどの有害物質は検出されなかった」と言っている。
引用元:ウィキペディア 電子タバコ
ベイプを楽しむのは、あくまで個人の判断によります。
しかし、このベイプの吸引行為をさらに安全なものにしたいのであれば、可能な限り事前に下調べをして、安全性の確認されたリキッドを購入するように注意する必要がありそうです。
また、日本で作られたリキッドの場合、安全検査の結果が添付表示されているものもたくさんあります。
国産のリキッドが必ず安全という訳ではありませんが、実績があり、検査結果が表記されたリキッドを選ぶに越したことはありません。
物理的には加熱式電子タバコよりも害が無い
今回は電子タバコ(ベイプ)と、加熱式電子タバコの水蒸気の違いについてご紹介しました。
- 物理的に有害物質は発生しない
- 物理的に副流煙被害は発生しない
- 物理的に無味無臭
- リキッドに含まれる香料でフレイバーが決まる
ただし、デメリットもあります。
加熱式電子タバコもベイプも、新しいアイテムなだけに、長期的な実験データが存在しないことです。
結局のところ、その良し悪しは個人の判断になってしまいます。
科学は日々進歩し、喫煙に対しても様々なオプションから選べる時代となりました。今までの「喫煙」の常識を覆す商品が多く出回る今だからこそ、賢く知識をつけた上で、納得してアイテムを選びたいものですね。
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